Salesforce導入パートナーとして再スタートを切るも売上は伸びず……

沖縄県浦添市内の小さな公園に、ひときわ目を引く1本の大きなガジュマルの木がそびえている。そのすぐ横にオフィスを構える株式会社テラ・ウェブクリエイトは、まさしく目の前にそそり立つ巨樹のように、この地にしっかりと根を下ろして活動するITベンチャーだ。創業は2008年。主に県内の中小・零細企業に高品質なWebシステムを安価で提供することを目的として、現代表取締役の寺田克彦氏によって設立された。
同社がこれまでに歩んできた7年間の道のりは、決して平坦なものではなかった。当初は、沖縄・九州エリアの企業をターゲットとして、顧客管理システムの導入を大手の4分の1程度の価格で提案し、顧客獲得に努めた。しかし、破格とはいえ1000万円近い額を投資できる中小・零細企業は少なく、苦戦の日々が続いた。
そうした厳しい状況を好転させる大きな契機となったのが、2009年末のSalesforceとの出会いだ。寺田氏は、Salesforceをひと目見て確信した。このシステムを使えば、従来とは比べものにならないほど安価に、自社の技術力を活かしたクラウドサービスを地元の企業に提供できるようになる、と。そして2010年、自社にSales Cloudを導入すると同時に、セールスフォース・ドットコムの認定コンサルタントの資格を県内で初めて取得し、Salesforce導入パートナーとして新たな一歩を踏み出す。
ところが、予想に反して売上は思うように伸びなかった。その原因について寺田氏はこう語る。
「弊社の営業力に問題があったのです。私はエンジニア出身なので、当時、営業のことがあまりよくわかっていなかった。一応、Sales Cloudを1ライセンスだけ取得して、私1人で使っていたのですが、せいぜい名刺のデータを入れるぐらいだったので、私以外の営業担当者の行動や商談の進捗状況を把握できず、いわゆる“抜け漏れ”がたくさん出てしまっていました」（寺田氏）