スペシャル対談|通販CRMの最前線

ネット広告最大手と
通販CRMツールのトップベンダーが考える
CRMの重要性とポイント

  • 北川 健太郎
    株式会社E-Grant
    COO 取締役

    EC通販企業の成長インフラであるCRM・リピート売上施策の啓蒙を行うとともに、自社の保有するEC通販CRM「うちでのこづち」を用いてCRMマーケティング支援を行う。年商数千万円~数百億円まで400社以上のEC通販企業のCRMを支援し、数多くのLTV・リピート売上向上の実績を持つ。
    2015年5月には「一般社団法人日本通販CRM協会」を立ち上げ、グローバル化が進みつつあるEC通販市場において、日本の文化を生かした「おもてなしCRM」を提案し、さらなるCRMの普及活動に取り組んでいる。
    ワールドビジネスサテライト出演。講演実績多数。

  • 稲益 仁
    株式会社サイバーエージェント
    インターネット広告事業本部
    CRMソリューション局 局長

    広告代理店でのグラフィックデザイン・編集デザイン経験の後、米国発、クリエイティブ、マーケティング領域専門の人材エージェンシーに営業として勤務。全世界で5位の成績を収める。2006年にサイバーエージェントへ入社。福岡支社に配属。配属して以来、一貫して“単品リピート通販”クライアントを担当。
    2014年4月にダイレクトマーケティング局を立ち上げ、全国各地の単品リピート通販企業をスタッフとして支援。
    事業計画の策定から、販促企画・クリエイティブ、CRM企画まで多岐にわたり、デジタルマーケティング業務全般に従事。2015年6月に顧客のLTV最大化をミッションとした専門組織「eCRMソリューション局」を設立し局長に就任。

新規顧客の獲得のために、様々な施策を実施している企業は多いでしょう。CPOを抑えつつ、より多くの新規顧客を得るためのノウハウが自社にもたくさん蓄積されている・・・そう思っている方も少なくないはずです。

しかし新規顧客を増やしたところで、事業の成長が約束されるわけではありません。もちろん新規顧客の獲得は大事ですが、一方で既存顧客に対するCRMをしっかりと行い、LTVを伸ばしていかないと事業全体の売上は上がりません。

数年前を振り返ると、そのような課題を抱える企業は多いものの、業界全体で見てもCRMは二の次になっていました。しかし2017年の今、その重要性を理解して、一部の企業が積極的にCRMに取り組み始めています。

まさに今、通販・EC業界はCRMに目覚め、大きな変革期を迎えていると言えるのです。

今回は、そもそもなぜCRMが重要なのかを皮切りに、EC事業におけるCRMの現状について、株式会社E-Grant 北川氏と株式会社サイバーエージェント 稲益氏のお二人に語っていただきました。

そもそも、なぜCRMが重要なのか?

稲益:
まず、なぜCRMが重要なのか?という点についてですが、よくしている話があります。

今、日本の総広告費は6兆円くらいです。これは、ほとんど伸びていません。1兆円を超えているメディアはテレビとインターネットくらいで、テレビは約2兆円です。そして、インターネット広告費は約1兆2,000億円で、ここが伸び続けています。

日本の広告費が伸びていない中で、インターネット広告費が伸びているということは、ネットにシフトしていることを意味していますよね?

さらにインターネット広告費を紐解くと、今は運用型広告が主流です。2015年は7割程度が運用型広告で、今は9割になっています。運用型広告は入札してから運用していくものなので、これでは入札が殺到しています。すると当然ながら入札価格が上がっていき、クリック単価が上がっています。これではCPOが悪化していくことは目に見えています。

では、CPOが悪化していく中でどうするかという話ですが、まず前提としてインターネットを使ったリピート通販は、マイナスから始まったのち、顧客がリピートすることで投資を回収していきます。

先ほどの話通りCPOが悪化しているので、マイナスが大きくなっています。だから必然的に広告の投資回収期間は伸びてキャッシュフローが悪くなります。

では、このマイナス分をどうすれば良いかと言うと、会員期間を伸ばしてLTVを最大化しなくてはならないのです。つまりはCRMが重要だという話です。

CRMをやらないなら、最初の新規会員獲得コストを小さくしないといけません。しかし、それではビジネスは拡大しません。だから新規とCRMの両方をやる必要があるのです。このビジネスモデルを理解してマーケットの状況を分かっていれば、CRMをやらない手はありません。

これは単品リピート通販に限りません。ECは多様化しています。買う場所も買う物も買う方法も自由です。これでは当然ながら価格競争、集客競争が起きています。囲い込みをしなくてはならないし、もっと言うと国内のマーケットは限界があるので、せっかく買ってくれた人を繋ぎとめていかないといけないし、そうなるとCRMはやらないといけないのです。

CRMを戦略的に取り組む企業は、たったの7%?

北川:
しかしCRM協会でアンケートをとっても、戦略的にCRMに取り組んでいる企業は全体の7%程度にとどまります。

トライアル商品から定期商品への引き上げ、ステップメールまでやっている企業様はたくさんいますが、どう継続性を高めるか、クロスセルをしていくか、休眠顧客にアプローチしていくか・・・といったことを戦略的に取り組んでいる企業様はほとんどいません。

稲益:
しっかり取り組んでいる企業様だと、すごく細かい施策を実施します。例えばうちでのこづちでメール1通目の件名を3通出し分けて、開封率を見ていくとか。

北川:
メルマガの開封率はどんどん下がっていると言われますが、商品に紐づく情報、その人が欲しいと思う情報、見たいと思うものだったら見られます。どういったコンテンツを送ればいいかなど、戦略的に取り組めば成果は必ず上がります。

稲益:
「戦略的」というのは、KPIを持ってちゃんと取り組んでいるか?といった点にありますよね。メールをどれだけ送れるかといった母数から許諾の取り方、メールを送った後は開封が一つの変数なので開封率の検証、さらに開封後はクリック率を上げる必要があります。

では、そのためのコンテンツの順番はどうあるべきか、クリエイティブやフォーマットはどうあるべきか?といったことを検証していきます。そして最後にCVRがあるので、飛び先のランディングページの改善があります。

具体的な例で言うと、メールからリンク先のランディングページを遷移させるか、直接カートインをさせるかといったような細かいABテストを繰り返します。こういったことをKPIを設定してPDCAを回している会社はほぼいないです。

顧客分析型のCRMツールが必要

北川:
なぜCRMを戦略的に行っている企業様が少ないかと言うと、私たちが提供しているようなCRMツールで、通販に特化しているものが今までなかったからです。それでは細かなデータが見れず、現状がわかりません。

KPIの設定をしようとしても、今の継続率が具体的にどうなっているのかがわからないという状況です。現状がわからないので、なんとなくやってしまいます。

CRMに対して戦略的に取り組めていない原因としては、そういったものがあります。その点、私たちがご提供する「うちでのこづち」は、通販に特化した「顧客分析型のCRMツール」です。

クライアント様はリピート通販、アパレルや総合通販など多岐に亘ります。もともと単品リピート通販は継続性が重要なのでCRMに対する意識は高いのですが、通販業界全体としても新規は取りづらくなっているので既存顧客を伸ばす必要があり、CRMをやらないといけないといった意識が芽生えてきています。

稲益:
うちでのこづち」ならではの機能として、継続率や離脱率が何%落ちているかが、分析ボタンをポチッと押せばすぐわかる。これはすごいです。

例えば離脱している顧客に何かしたい・・・そんな時は、この管理画面でパパッとリストを抽出すればすぐにメールが送れます。これが他のツールには無いんです。

あとはメールの効果測定がすごく簡単にできる。これには感動しました。

配信シナリオは、0・1・5・10日などで、どんどん走っていますよね?

普通、購入日を起点に期間設定をすると、シナリオが継続している途中、例えば3月31日で切ってしまうので、各メールの正確な効果測定はできません。しかし、「うちでのこづち」ならそれがわかるのです。

北川:
私たちは「うちでのこづち」をマーケティングツールだと思っています。しかし、多くのツールはシステムになっていると思います。つまり、システムの人が自分たちがわかりやすいように作ったものです。

私たちは何百社といったクライアント様を支援しているので、様々なノウハウがあります。ただのツールを売っているという感覚ではなく、そのノウハウを活かし、CRMを使ってクライアント様のマーケティング支援をしているのです。

単純な興味として、サイバーエージェントさんがCRMをやるのはなぜなんですか?CRM単体だと予算が小さいから、代理店さんはあまりやりたがらないですよね。

長期的にはCRMやればCPOが緩和されて予算が上がる。でも、短期的にはまずCRMを構築しないといけないため工数もかかるかと思います。

稲益:
CRMをやる理由はCPOの緩和にもありますが、「うちでのこづち」のようなツールを入れることでCRMデータがすべて入ってきて、お客様の状況がわかります。そこからの打ち手を考える。ここを支援したいのです。

今後のCRM ~CTR90%を叩き出したLINEビジネスコネクト~

稲益:
2017年の今は特にスマホが大事です。例えば化粧品通販だと9割がスマホです。私たちもメールの開封率が下がっていく中で、電話をしたりDMを送ったりしたデータを使ってディスプレイ広告をやったり、サイト来訪者にポップアップを見せたりと、いろいろやってきました。

しかし、結果的にCRMの効果が一番出たのはLINEのビジネスコネクトでした。

LINEは日本で一番使われているアプリですし、多くの人が毎日使います。ホーム画面に必ずありますよね?そのLINEを使えば、One to Oneでメッセージが送れます。

LINEビジネスコネクトでCRMをやったら、CTR90%でした。私が12年やってきた中で、今まで見たことがないようなCTRが出たのです。

今はいろんなメディアがありますが、LINEはメッセンジャーなので、文字情報を見るのにすごく適しています。One to Oneの環境を作れるのもいいですね。LINEは、今まさにインフラの代わりになっています。今後はMAのデータを繋いで、LINEでアプローチしていくといったような方法は増えていくと思います。

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(資料提供:株式会社E-Grant)