ホームページ制作におけるペルソナ法活用のポイント

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ホームページは、自社の顧客、あるいはこれから出会うことになる潜在顧客をもてなすための応接間にたとえることができるでしょう。訪れた顧客を心地よくもてなし、顧客が求めるものを提供しようとするなら、まずは顧客を深く理解することが大切です。

顧客を理解するためには、頭の中にぼんやりと描いている「顧客像」を明確化する必要がありますが、この際に役立つのが「ペルソナ法」という手法です。この記事では、ホームページ制作におけるペルソナ法の活用についてポイントとなる事柄を紹介します。

目次

ペルソナ法とは

ペルソナ法とは、ユーザーの視点でサービスや商品を設計するために用いられる手法です。もともとはソフトウェアの開発手法として提唱された理論ですが、その後、マーケティングや製品開発の世界にも応用されるようになりました。

ペルソナ法ではペルソナ(Persona)と呼ばれる架空のユーザーを作成し、あらゆる判断基準にペルソナの視点を適用します。たとえば、20代後半女性向けの「大人かわいい文房具ブランド」を立ち上げるとしましょう。そのブランドのターゲットユーザー層の代表的な人格を表すペルソナを作成し、このペルソナの視点を通して商品設計を行います。

ホームページ制作でペルソナ法を用いる場合は、ホームページの訪問者をペルソナとして設定します。そして、デザインや使い勝手からコンテンツ設計、導線設計まで、あらゆる場面で「ペルソナの●●さんだったら、どう思うだろう?」と考えながら制作を進めていくのです。

代表的なユーザー像であるペルソナの視点を中心に据えることで、ホームページ運営者側の一方的な思い込みを排除し、ユーザーの視点でホームページを設計することができます。また、具体的なペルソナを設定して関係者で共有することで、制作の過程で生じやすい認識のズレを軌道修正することに役立つのも、ペルソナ法の大きなメリットのひとつです。

ペルソナ作成・活用のプロセス

では、ペルソナ作成のプロセスを見ていきましょう。

1 想定顧客像の明確化

ペルソナを作成する際には、ホームページの訪問者像を洗い出すところから始めます。

企業のホームページの目的は、ほとんどの場合は新規の引き合いを獲得することにあるでしょう。したがって、まずは自社の商品やサービスの想定顧客層を確認したうえで、代表的な顧客像を明らかにします。

通常、商品やサービスの想定顧客は事業戦略の立案時や商品開発時にある程度定義されていますので、関連部署・担当者にヒアリングをして情報を収集することになるでしょう。

2 ペルソナの作成

想定顧客像が明らかになったら、これをもとにペルソナを作成していきます。

ペルソナの作成時に注意したいのは、できる限り正確な顧客像を把握するということ。ペルソナは「理想の顧客像」ではなく、実際にその商品やサービスを購入する顧客をモデル化したものである必要があります。勝手な思い込みで不正確なペルソナを作成してしまうと、このあとのプロセスがすべて無駄になりかねません。可能な限り現実味のあるペルソナを作成するよう心がけることが大切です。

ペルソナ作成のポイントについては、次の項で具体的に紹介します。

3 ユーザーシナリオを作成する

ペルソナを作成したら、作成したペルソナごとにユーザーシナリオを作成します。ユーザーシナリオというのは、個々のペルソナの行動をモデル化したものです。ペルソナにニーズが生じてから情報収集をし、意思決定をして自社の商品・サービスの購入に至るまでの過程をシミュレーションし、シナリオとして描き出します。

ユーザーシナリオを作成することにより、ペルソナごとに行動パターンが明確になり、ホームページ制作にあたって考慮すべきことが明らかになります。このようにして作成したユーザーシナリオを参考に、ホームページ制作を進めていきましょう。

ペルソナ作成のポイント

次に、ペルソナを作成する際に注意すべきポイントをいくつか紹介します。

1 可能な限り具体化すること

まず、ペルソナは可能な限り具体的に定義しましょう。「35歳、男性、会社員」……といった漠然としたイメージだけでは、ペルソナとしては使えません。氏名、年齢、性別、生年月日、趣味、家族構成、勤務先、年収、学歴から、必要なら飼っているペットの種類や名前まで、可能な限り詳しく属性を定義し、あたかも実在する人物であるかのように具体化するのがポイントです。

もちろん、いくら具体的でも元になる顧客像が実情とズレていては意味がありません。すでに述べたようにあらかじめ想定顧客像を明確化したうえで、それに沿ってペルソナを作成していきます。

ペルソナを作成するうえで情報が不足するようなら、想定顧客層に近いセグメントに対してアンケートを実施したり、モニター座談会を開いたりして情報を収集するのもよいでしょう。

2 メイン、サブでいくつかペルソナを作成する

2つめのポイントは、ペルソナを複数作成するということ。自社の商品・サービスの対象顧客が、たった1人のペルソナに集約されるということはまずありえません。通常はそこになにがしかの「厚み」があるはずです。

たとえば商品がオフィス家具なら、「これから起業するにあたって新しくオフィスを開こうとしている経営者の卵・山田太郎さん46歳」というペルソナも考えられますし「中堅企業の総務部でマネージャーを務める鈴木花子さん36歳、オフィスの移転にあたって重機の買い替えが必要になり調査中」というペルソナも考えられるでしょう。そこで、自社商品・サービスの分析に基づいていくつかのペルソナを作成しておくのです。

なお、作成したペルソナには優先度をつけ、一番重要なメインのペルソナのニーズを満たすことを第一に考えてホームページ制作を進めます。

3 ペルソナは成長させない

3つめのポイントは、作成したペルソナは成長させないということ。現実世界の顧客は、ホームページを閲覧したり営業担当者の訪問を受けたりするうちに、徐々に成長していきます。商品・サービスに関する知識は増えていきますし、自社に対して抱く親しみの度合いなども変化していくでしょう。

しかし、一度作成したペルソナは作成した時点の状態で固定し、変化させないのが基本です。ペルソナを成長させてしまうと、成長する前のペルソナの行動が把握できなくなってしまいます。成長した状態のペルソナがどうしても必要な場合は、改めて別のぺルソナとして定義するようにしてください。

4 作成したペルソナは定期的に見直す

4つめのポイントは、作成したペルソナを定期的に見直すということです。

企業を取り巻く環境は、日々変化していきます。商品やサービスの内容が変わる場合もありますし、競合が増えるなどして市場の状況が変化することも。そうした変化を適時把握しつつ、その時々の状況に照らし合わせて作成したペルソナが適切であるかどうかを評価し、必要であればペルソナを再定義するようにしましょう。

ペルソナ法はユーザー理解への近道

以上、ホームページ制作におけるペルソナ法の活用について解説しました。

ペルソナ法をうまく適用すれば、ホームページのユーザーがどのような人であるかをより深く・具体的に理解し、それを関係者の間で共有することが可能です。

ペルソナの作成には手間もコストもかかりますが、それらをかけただけの効果は十分に見込めます。これからホームページ制作に着手しようと考えている方は、ぜひペルソナ法の導入を検討してみてください。

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