Webマーケティング、これまでの歴史と今後のトレンドを知る

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1993年、郵政省が商用利用を許可したことで、日本でも運用がスタートしたインターネット。
その後、1996年4月に国内初の商用検索サイト「Yahoo! JAPAN」が開始。
翌年1997年5月にインターネット・ショッピングモール「楽天市場」が開始され、この辺りから日本でもWebマーケティングの流れが本格的になってきました。当時はバナー広告による集客が主流でしたが、その後何度かの変革期を経て、現在もまだまだ進化の途中です。

そこで今回はこれまでのWebマーケティングの歴史を振り返りつつ、今後の新たなトレンドについて見ていきます。

目次

コトラ―のマーケティング1.0~4.0に見るWebマーケティングの歴史

アメリカの経営学者で、現代マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラ―氏は、2010年1月に出版した「コトラ―のマーケティング3.0」の中で、1950~1960年代までのつくったものをどう売るかに焦点を絞った「製品中心のマーケティング」をマーケティング1.0、1970~1980年代までの顧客満足を目指す「消費者志向のマーケティング」をマーケティング2.0、1990~2000年代にかけ消費者志向は変わらないものの、製品やサービスの機能に加え、精神の充足をも目指し「価値主導」をコンセプトとした「人間中心のマーケティング」をマーケティング3.0としています。
そして2016年12月に出版した「コトラ―のマーケティング4.0」では、マーケティング3.0をさらに推し進め、SNSやブログの普及、Web上でのコンテンツマーケティングの登場などによって「デジタル」を駆使し消費者とつながっていくことの重要性を説いています。

このマーケティングの進化の流れの中で、Webマーケティングの根本ともいえる消費者志向という概念は、マーケティング2.0から生まれてきているといえます。
そしてインターネットが出現し、消費者志向の広告であるリスティング広告などが登場したマーケティング3.0を経て、SNSやブログといった口コミ、さらにはコンテンツによって顧客と接点をつなげていく現在のWebマーケティングこそが、マーケティング4.0であるといえます。

Webマーケティングの歴史-1-バナー、アフィリエイト広告

世界で初めてバナー広告が登場したのは、1994年、オンライン雑誌の「HotWired.com」で、掲載したのはアメリカ最大の電話会社AT&T社でした。それから2年後の1996年1月、日本でもソフトバンク株式会社とヤフー・コーポレーションが共同でヤフー株式会社を設立し、バナー広告のサービスを開始しています。
バナー広告はYahoo!や新聞、雑誌、テレビ局のサイトやアクセスの多いサイトのトップページなどに掲載することで、認知やクリックを促すための広告で、テキスト、画像、動画を使ったものまでさまざまな種類のものがあります。ただ最近では見たくない広告が掲載されることを嫌うユーザーも多く、ブラウザによってはバナー広告をブロックできるものもあります。

日本にバナー広告が登場した1996年、アメリカアマゾンドットコムのアソシエイトプログラムがアフィリエイトプログラムを開始。これがアフィリエイト広告の始まりです。
このアフィリエイト広告とは、ユーザーが自身のサイトなどに商品を紹介するバナーやテキストリンクを掲載し、それがクリックもしくはクリック後にリンク先のサイトの商品が購入されたことで、ユーザーに売上の一部が報酬として支払われるタイプの広告です。

バナー広告は新聞や雑誌などに掲載されている広告と同様、広告主が直接、ユーザーに対して情報を発信するものです。これに対しアフィリエイト広告は、ユーザーが自身のサイトに訪問した人に対し「おすすめ」として紹介するタイプの新たな広告手法として、一気に広まりました。

Webマーケティングの歴史-2-SEO、リスティング広告

テレビや新聞といったほかのメディアは基本的に広告主から一方的に情報を発信し、ユーザーはそれを受け取るのみですが、インターネットの世界では、ユーザー自ら欲しい情報を検索エンジンで探し出します。
検索エンジンとして代表的なものでは1995年にYahoo!、そして1998年にGoogleが登場しています。ちなみに米メディアのSearch Engine Landによると2016年にはGoogleの検索回数は推計2兆回にものぼるという結果が出ています。

これだけ多くの検索がなされているということは、検索エンジンで表示されなければ自分のサイトを見つけてもらうことは困難であるということです。そこで任意のキーワードで検索エンジンに上位表示されるような施策をすることが、Webマーケティングでは必須となっており、その施策をSEO(検索エンジン最適化)といいます。
SEOはバナー広告などの広告と違い、広告費をかけなくとも検索エンジンに上位表示されることでユーザーに見つけてもらえるというのが最大のメリットです。

検索エンジンを利用したWebマーケティングはSEO以外にもあります。
それがGoogleが2000年に開始した検索エンジン連動型広告、いわゆるリスティング広告です。リスティング広告最大のメリットは、それまで予算の都合で広告を出すことができなかった中小企業であっても、キーワードの選定次第では、大企業よりも上位に表示されることが可能になったことです。
またリスティング広告はユーザーのクリック数によっても順位が変動するということで、まさにユーザー主導型の広告として、現在でもWebマーケティングの主流として、多くの企業で活用されています。

Webマーケティングの歴史-3-ブログ、SNS

リスティング広告やアフィリエイト広告によって、これまで資本のある大企業だけのものであった広告が中小企業や個人でも発信できるものへと変わってきました。そしてそれをさらに推し進めたのが、ブログの隆盛とSNSの登場です。

1999年、パイララボ(後にGoogleに買収される)がBloggerというブログサービスを開始、その後日本でも2001年に楽天市場が楽天広場というブログも含めたコミュニティーサービスを開始しています。しかしブログが本格的に日本で普及し始めたのは、はてなやシーサー、ニフティ、ライブドアなど現在でも多くのユーザーが利用しているブログサービスが始まった2003年から2004年にかけてでしょう。それまでHTMLの知識を持ったごく限られた人だけが運営していたホームページから、HTMLの知識がなくてもすぐに開設が可能なブログが流行したことで、ブログの数が激増し、アフィリエイト広告の利用者も急激に増え出しました。
また企業から商品の提供を受け、使った感想をブログに書くといった形のPR記事もこの頃から一般的になっています。

そして一般ユーザーがブログよりさらに簡単に情報発信ができる場として登場したのが、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSです。
ブログブームがひと段落した2006年7月、アメリカで開始されたTwitterは、その後世界へ広がり、日本でも日本語版が登場した2008年辺りから徐々に人気が浸透し、2017年10月には国内月間アクティブユーザー数が4,500万人を超えています。
そして2008年5月、後発のFacebookも日本語版が開始され、2017年9月時点での国内月間アクティブユーザー数は2,800万人となっています。近年、SNSではこのアクティブユーザー数の多さを活かしたSNS広告が広がりつつあり、リスティング広告と合わせて活用する企業が増えています。

Webマーケティングの歴史-4-コンテンツマーケティング

2010年代に入って、新しいWebマーケティングとして「コンテンツマーケティング」が浸透します。コンテンツマーケティングとは、今すぐに商品を必要としている方ではなく、まだ興味関心段階、もしくは興味を持つ以前の段階の方に対して自社のWebサイトやブログ、SNSなどで情報を発信し、見込み顧客と接点を持ち、最終的には購入へつながるまでユーザーの意識変容を促していく手法です。

コンテンツマーケティングのメリットは、単に商品、サービスを売り込むのではなく、ユーザーの課題や不満点を解決する手段を提供することで、商品、サービスはもちろん自社の姿勢やマインドを知ってもらいファンになってもらうことができる点です。
自社の製品やサービスを売り込まず、自然な形でユーザーと多くの接点を持つことで、単なる販売者と購入者という関係ではなく、ファンになってもらうことで、長期的な関係性を築ける点は、これまでのWebマーケティングにはなかったもので、だからこそ、今、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組むようになっています。

常に進化し続けるWebマーケティング

これまで、バナー広告に始まり、リスティング広告、SEO、SNSなどさまざまなWebマーケティングの手法が生まれては消え、また生まれてを繰り返してきました。
現在、コンテンツマーケティングが主流となっていますが、リスティング広告やSNS広告といったWeb広告も大きなシェアをつくっています。

またユーザーにPR記事であるということは前提として、周りの記事と違和感のない内容の広告を作成し、全体のコンテンツの一部として読んでもらうことを目的としたネイティブ広告といった新たな広告も生まれてきています。広義では広告もひとつのコンテンツであり、そういった意味ではネイティブ広告もコンテンツマーケティングの一環であるという考え方もあります。

常に進化を続けるWebマーケティングの世界ですが、進化すればするほど重要になるのは、顧客との信頼関係です。
どんなに形が変われど、顧客との信頼関係を一番に考えた企業が生き残っていくのは間違いありませんし、それを活かすための新たな手法は今後も生まれ続けていくでしょう。

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