セキュリティ対策

セキュリティ対策の重要性と基本概念を理解する
サイバー攻撃が日々進化する現代において、企業・組織・個人を問わず「セキュリティ対策」はもはや必須の取り組みです。
近年ではASM(Attack Surface Management)や脆弱性診断、ペネトレーションテスト(疑似攻撃)、ソースコード診断といった高度な施策も重要視されつつあります。
この記事では、セキュリティ対策の定義と基本的な考え方を整理した上で、実践的な対策例とその必要性について、貴社サイトを守る為に専門的な視点も含めて解説します。
セキュリティ対策とは? ── 脅威を「見える化」し、リスクを抑える仕組み
セキュリティ対策とは、外部からの攻撃・不正アクセス・内部不正などによる情報漏えいやシステム被害を未然に防ぐための一連の取り組みです。WEBサイトのみに目がいきがちではありますが、ハードウェアやソフトウェアだけでなく、人的・組織的な面からの対応も含まれます。
特に企業においては、攻撃者から狙われる攻撃対象領域(Attack Surface)が広がりつつある今、セキュリティ対策の重要性が一層高まっています。
情報セキュリティ10大脅威
「情報セキュリティ10大脅威 2025」とは、2024年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュリティにおける事案から、IPA(情報処理推進機構)が脅威候補を選出し、情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など約200名のメンバーからなる「10大脅威選考会」が脅威候補に対して審議・投票を行い、決定したものです。
よくある被害と捉え、対策が必要なものの優先順位表と置き換えて捉えていただくとよいでしょう。

※引用元: 情報処理推進機構 >情報セキュリティ10大脅威 2025
代表的なセキュリティ対策 ── 基礎から実践まで5つのアプローチ
1. ASM(Attack Surface Management)
ASMは外部から攻撃可能な箇所(攻撃対象領域)を可視化・管理する手法です。
自社がどんな資産(ドメイン、サーバー、公開API など)を持ち、どこに脆弱性があるのかを洗い出すことで、リスクの早期発見と対応が可能になります。
2. 脆弱性診断
Webアプリやサーバーなどに存在する脆弱性を、ツールや専門家によってスキャン・分析する診断です。
リリース前の検証はもちろん、定期的な診断によりセキュリティの健全性を保つことができます。
3. ペネトレーションテスト(疑似攻撃)
実際のハッカーと同様の手法を使って、システムに侵入可能かどうかを検証する攻撃テストです。
単なる診断では見つからない、構成上の問題や攻撃シナリオの把握に有効です。
4. ソースコード診断
アプリケーションのソースコードレベルでの脆弱性チェックします。
開発段階で脆弱性を検知・修正できるため、後からの修正コストやリスクを大幅に軽減できます。
5. 基本対策(ウイルス対策、ファイアウォール、二段階認証など)
もちろん、基本的なセキュリティ対策も欠かせません。
ウイルス対策ソフトの導入やファイアウォールの設定、強固なパスワード管理と二段階認証は、すべての対策の土台になります。

基本的なセキュリティ対策の実施方法
セキュリティ対策の第一歩として最も重要なのが、ソフトウェアやシステムを常に最新の状態に保つことです。
OSや各種業務用ソフト、ネットワーク機器のファームウェアなどには、日々新たな脆弱性が発見され、それに対応するセキュリティパッチが配信されています。
しかし、これらのパッチを適用せずに放置していると、攻撃者にとって格好の標的となってしまいます。
特に、古いソフトや更新されていないシステムは狙われやすい傾向があります。
そのため、以下のような対応が不可欠です。
- 最新のセキュリティパッチを確実に適用する
- 脆弱性を早期に発見し、修正する体制を整える
- 自動更新機能を活用し、人的ミスや対応漏れを防ぐ
また、重要なソフトや業務システムにおいては、ベンダーによるサポート期間が終了していないかを定期的に確認することも大切です。
サポートの切れたソフトは、たとえ問題が発覚しても修正パッチが提供されず、リスクが高まります。
万が一の不具合や操作ミスがあった際に備えて、電話やチャットなどで迅速に対応できるサポート体制が整っている製品・サービスを選ぶことも、実用的なセキュリティ対策の一環と言えるでしょう。企業におけるセキュリティ対策の具体例
企業におけるセキュリティ対策の具体例
近年、標的型攻撃や内部不正のリスクが高まる中、企業に求められるセキュリティ対策は「予防」だけでなく「検知」と「対応」を含めた多層的な防御体制へと進化しています。
その中でも、EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイント(端末)で発生する不審な挙動をリアルタイムで検知・記録・対応する手段として、多くの企業で導入が進められています。
EDRの導入だけでは不十分。重要なのは「運用体制の構築」
EDRは非常に高機能なツールですが、それだけではセキュリティは万全とは言えません。検知された情報をどう理解し、どう対処するかを判断する人材・チームの存在が不可欠です。つまり、「EDRを導入する」ことよりも、「EDRを正しく管理・監視する体制を築く」ことの方が重要なのです。
この体制を構築するためには、以下のような取り組みが必要です。
- 従業員全体での情報セキュリティリテラシーの底上げ
- インシデント対応フローの明文化と訓練
- 専門チーム(SOC: Security Operation Center)の社内構築、または外部委託
- EDRログのモニタリングとアラート対応ルールの策定
中小企業でも現実的に取り組める選択肢がある
「EDRなんて大企業向けでしょ?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし最近では、中小企業向けに導入しやすい軽量なEDRソリューションや、外部のMSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダ)による監視サービスも登場しています。
ある中小企業の事例では、従業員数30名ほどの企業がEDRを導入し、外部SOCと連携することでゼロデイ攻撃を未然に防止した実績も報告されています。
このように、企業規模や予算に応じた柔軟な選択肢が存在するため、導入を諦める必要はありません。
<h3>個人の意識と理解が企業全体の防御力を高める<h3>
セキュリティ対策は、IT部門や専門家だけが取り組むものではありません。
従業員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、基本的なリスクを把握しておくことが、企業全体の防御力を高める鍵になります。
EDRのような高度なツールを活かすためにも、日常の業務に潜むリスクに気づける「人の感度」を育てることが、結果として大きな被害の抑止につながります。
最新のセキュリティ技術とツール
サイバー攻撃の巧妙化とデジタルサービスの高度化が進む現代において、企業に求められる情報・サイバーセキュリティ対策も大きく進化しています。
特にWebアプリケーションやAPIを対象とした攻撃が増加しており、従来の方法だけでは防ぎきれないケースも少なくありません。 こうした背景から注目されているのが、最新のセキュリティ技術とツールの活用です。中でも「WAF(Web Application Firewall)+APIセキュリティ対策」は、今や企業のセキュリティ設計における基本的な構成要素となりつつあります。
WAF+APIセキュリティ:開発と運用を支える実践的アプローチ
WAFはWebアプリケーションの通信内容を監視・制御し、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃からWebサービスを守ります。
近年ではこのWAFに加え、APIへの攻撃に特化した検出・防御機能を組み合わせたソリューションが増加しています。
APIはモバイルアプリやSaaSなど様々なコンテンツ開発・サービス設計において不可欠な要素ですが、そのセキュリティは見落とされやすく、攻撃対象となりやすい領域です。
たとえば、以下のような設計・開発段階での対策が重要です。
- APIエンドポイントの認証とアクセス制御ルールの整備
- WAFやAPIゲートウェイによる通信の監視と制限
- APIレスポンスに含まれる情報の最小化と暗号化
これらはすべて、開発や実装だけでなく、運用・監視体制の設計と経営判断のもとで確実に実施される必要があります。
セキュリティ対策は経営課題:ルールと体制の整備が不可欠
情報セキュリティはもはやIT部門だけの課題ではなく、企業経営のリスクマネジメントに直結する重要な要素です。
ツールを導入するだけでなく、それをどのように使い、どのようなルールで運用していくのかを全社で理解・共有することが成功の鍵となります。
- 社内でのセキュリティポリシーやルールの策定と徹底
- サービス開発の初期段階からセキュリティを設計に組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」の実践
- 継続的な脅威インテリジェンスの収集と反映
このように、経営層から現場までが連携して情報セキュリティに取り組む体制の構築が、セキュリティ技術の導入効果を最大限に引き出します。
まとめ:ツールの導入だけで終わらせない「仕組み」の構築を
WAFやAPIセキュリティといった最新ツールは強力な防御手段ですが、それらをどのように選定・実装・運用し、どう組織に根付かせるかが本当の意味でのセキュリティ対策成功の分かれ目となります。
企業がこれからの時代を安心して成長していくためには、「技術」と「ルール」と「理解」の3軸をバランスよく取り入れた情報セキュリティ戦略が不可欠です。
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