
近年ChatGPTをはじめとする生成AIは、資料作成やアイデア出し、リサーチ業務など、企業のマーケティング活動に欠かせない存在となりつつあります。
一方で、利便性の高さと引き換えに、情報漏洩のリスクが指摘されている点も見逃せません。実際、入力内容やアカウント管理の不備が原因で、意図せず機密情報が外部に流出する事例も報告されています。
本記事では、ChatGPTを業務で安全に活用するために押さえておきたい情報漏洩防止策を8つ厳選して解説します。リスクを正しく理解し、安心してAIを活用するための基礎知識としてご活用ください。
ChatGPT利用時に漏洩リスクのある情報

ChatGPTは、マーケティング施策の立案や文章作成、リサーチ業務などを効率化できる便利なツールです。しかし、業務利用が広がる一方で、入力や設定の仕方によっては情報漏洩につながるリスクがあることも理解しておく必要があります。
特に企業利用では個人情報や機密情報を扱う機会が多いため、「どの情報が危険になり得るのか」を把握したうえで使うことが欠かせません。
ChatGPT利用時に特に注意すべきなのが、次の3つの情報です。
- アカウント情報
- チャット履歴
- プロンプトの入力情報
具体的にどのようなリスクがあるのか解説します。
アカウント情報
まず大きなリスクとなるのが、ChatGPTのアカウント情報です。メールアドレスやパスワードが第三者に漏洩すると、不正ログインによって本人になりすまして利用される可能性があります。
業務で使用している場合、過去のチャット履歴や設定内容、利用状況まで含めて閲覧される恐れがあり、被害は個人にとどまりません。
特に注意したいのは、他のWebサービスと同じパスワードを使い回しているケースや、複数人でひとつのアカウントを共有している運用です。こうした状況では、誰がどのように利用しているのかを把握しにくく、漏洩時の原因特定や被害範囲の把握が難しくなります。
また、個人の端末がマルウェアに感染したりフィッシング詐欺に遭ったりした場合、保存されている認証情報が盗まれる可能性もあります。
ChatGPTは比較的新しいツールであるため、セキュリティ意識が十分に浸透していないまま利用されがちな点もリスクを高めています。業務利用では、アカウント情報の管理がそのまま企業全体の情報管理につながるという意識を持つようにしましょう。
チャット履歴
次に注意すべきなのが、ChatGPTに保存されるチャット履歴です。チャット履歴には、業務上の相談内容やマーケティング施策の検討プロセス、社内の課題整理などが含まれることがあります。一つひとつは断片的な情報であっても、履歴が蓄積されることで、企業の戦略や内部事情を推測できる材料になりかねません。
万が一、アカウントが不正利用された場合や、システム上の不具合が発生した場合、これらの履歴が意図せず第三者に閲覧されるリスクがあります。実際に、過去には外部サービスのバグによって、他人の情報が閲覧可能になった事例も報告されています。利用者側に過失がなくても、外部ツールを使う以上、一定のリスクは避けられません。
また、履歴が残ること自体を認識せずに使い続けているケースも少なくありません。どの情報が保存され、どの範囲まで管理できるのかを把握しないまま利用することは、情報管理の観点で問題があります。
業務で使う場合は、履歴を残す必要があるのか、不要な履歴が蓄積されていないかを定期的に見直す姿勢が求められます。
プロンプトの入力情報
見落とされがちですが、もっとも重要なのがChatGPTに入力するプロンプトの内容です。業務効率化を目的として、顧客名や取引先情報、未公開の施策案、社内資料の要約をそのまま入力してしまうケースも見受けられます。
しかし、入力した情報自体が機密情報に該当する場合、その取り扱いには十分な注意が必要です。
特にマーケティング分野では、新商品の企画内容やキャンペーン施策、競合との差別化ポイントなど、外部に知られることで不利益につながる情報を扱う場面が多くあります。便利だからという理由だけで詳細な情報を入力してしまうと、結果的に情報漏洩リスクを高めることになります。
また、入力内容がどのように扱われるのかを正確に理解しないまま使うことも危険です。業務利用では、どこまでの情報を入力してよいのかを明確に線引きすることが欠かせません。固有名詞を伏せる、数値を抽象化するなどの工夫を行うだけでも、リスクは大きく下げられます。
あらかじめ社内でルールを定めて、全員が同じ認識でChatGPTを利用できる状態を作るように心がけましょう。
ChatGPTの情報漏洩防止策8選

ChatGPTを業務で安全に活用するためには、個人の注意だけでなく、組織としての対策が欠かせません。情報漏洩はひとつの原因で起きるものではなく、複数の要因が重なって発生するケースが多いのが実情です。
ここでは、マーケティング担当者が押さえておきたい代表的な情報漏洩防止策として、次の8つを紹介します。できるところから段階的に取り入れると、情報漏洩のリスクを大きく下げられるでしょう。
- パスワードを定期的に変更
- 機密情報の入力は避ける
- オプトアウト(学習させない)機能の設定
- 一時チャットの利用
- APIの利用
- ChatGPT Enterpriseの利用
- DLP(セキュリティツール)と連携
- ガイドラインの策定と社内教育
パスワードを定期的に変更
基本的な対策ですが、もっとも重要なのがパスワード管理です。長期間同じパスワードを使い続けていると、万が一流出した場合に被害が拡大しやすくなります。定期的な変更に加え、他のサービスとの使い回しを避けることも不可欠です。
業務で利用する場合は、個人任せにせず、社内ルールとして更新頻度や管理方法を定めておくと安心でしょう。
機密情報の入力は避ける
ChatGPTの利便性が高いからこそ、つい詳細な情報を入力してしまいがちです。しかし顧客情報や未公開の施策内容、社内資料の全文などは、原則として入力しない運用が望まれます。どうしても相談したい場合は、固有名詞を伏せる、内容を抽象化するといった工夫が必要です。
入力前に「この情報は外部に出しても問題ないか」を一度立ち止まって考える習慣を持つことが大切になります。
オプトアウト(学習させない)機能の設定
ChatGPTには、入力内容をモデルの学習に利用させないための設定が用意されています。このオプトアウト機能を有効にすることで、入力データが将来的な学習に使われるリスクを低減できます。
業務利用においては、初期設定のまま使うのではなく、必ず設定状況を確認しておくべきポイントです。社内で利用する場合は、全員が同じ設定になるよう周知することも欠かせません。
一時チャットの利用
履歴を残さずに利用できる一時チャットは、情報管理の観点で有効な手段です。業務上の相談や一時的なアイデア出しなど、あとから参照する必要がない内容であれば、一時チャットを選択することで履歴漏洩のリスクを抑えられます。
通常のチャットと使い分けると、不要な情報が蓄積される状況が防げるでしょう。
APIの利用
より安全性を重視する場合は、ChatGPTのAPIを利用する方法も検討できます。OpenAIのセキュリティとプライバシーに関するページでは、APIの入力・出力データは学習に使用されないと明言されています。
また、API経由であれば、データの取り扱いや保存範囲を自社側で管理しやすくなり、利用用途に応じた制御が可能です。
自社システムと連携すると、入力内容を限定したりログ管理を徹底したりと、柔軟なセキュリティ設計が実現しやすくなります。
ChatGPT Enterpriseの利用
組織全体で本格的に活用する場合は、法人向けプランの導入も有力な選択肢です。ChatGPT Enterpriseでは、APIプラットフォームと同様、入力・出力情報が学習されない仕組みになっています。
また、セキュリティや管理機能が強化されており、データの取り扱いに関する不安を軽減できます。
利用状況の可視化や権限管理がしやすくなる点も、企業利用においては大きなメリットと言えるでしょう。
DLP(セキュリティツール)と連携
情報漏洩対策をより強固にするためには、DLPなどのセキュリティツールとの連携も有効です。特定のキーワードや情報が入力された場合に警告を出したり、利用自体を制限したりすることで、人為的なミスを防ぎやすくなります。
技術的な対策を組み合わせると、属人的な運用から脱却できるでしょう。
ガイドラインの策定と社内教育
最後に重要なのが、ルール作りと社内教育です。どれだけ機能やツールを整えても、使う側の理解が不足していればリスクは残ります。
ChatGPTの利用目的や入力してよい情報の範囲、禁止事項などを明文化し、定期的に社内へ共有することが大切です。あわせてAIリテラシーを高める研修や勉強会を実施すると、組織全体のリスク意識を底上げできます。
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ChatGPTで情報漏洩が起きた事例

ChatGPTに関する情報漏洩は、単なる想定リスクではなく、実際に複数の形で顕在化しています。
注目すべき点は、これらの多くが高度なサイバー攻撃だけでなく、利用者の判断ミスや運用ルールの未整備、さらにはサービス側の不具合といった現実的に起こり得る要因から発生していることです。
ここでは、「機密情報」「アカウント情報」「チャット履歴」の3つの漏洩事例をもとに、企業が学ぶべき教訓を整理します。
機密情報の漏洩事例(AIリテラシーの不足)
最初に取り上げるのは、AIリテラシー不足が引き金となった事例です。Bloombergが報じた韓国・サムスン電子のケースでは、従業員が業務効率化を目的として、社内のソースコードや機密性の高い業務情報をChatGPTに入力していたことが明らかになりました。
この事例では情報が即座に外部へ公開されたと断定されたわけではありませんが、入力した内容が外部サービスに渡るという点が問題視されています。
背景にあったのは、ChatGPTを検索エンジンや社内ツールと同じ感覚で扱ってしまったことです。生成AIの仕組みやデータの取り扱いについて十分な説明がないまま利用が広がり、結果として企業として把握できない形で情報が入力されていました。
この事例は、技術的な対策以前に、AIの特性やリスクを理解するための教育が欠かせないことを示しています。導入初期にガイドラインや利用ルールを整備していなかった点が、リスクを拡大させた要因と言えるでしょう。
アカウント情報の漏洩事例(ダークウェブへの流出)
次に、アカウント情報そのものが漏洩した事例です。
The Hacker Newsの報道によると、マルウェアなどを通じて窃取されたChatGPTのログイン情報が、ダークウェブ上で大量に取引されていたことが確認されています。対象となったアカウントは数十万件規模に及ぶ可能性があるとされ、大きな注目を集めました。
このケースで重要なのは、ChatGPTのサービス基盤が直接侵害されたわけではないという点です。利用者の端末やブラウザに保存されていた認証情報が盗まれ、不正アクセスに悪用されました。その結果、第三者が過去のチャット履歴や利用状況を閲覧できる状態が生まれたと考えられます。
業務で利用していた場合、個人のセキュリティ意識の低さが、そのまま企業全体のリスクにつながります。AIツールであっても、基本的なアカウント管理や端末のセキュリティ対策が不可欠であることを示す事例です。
チャット履歴の漏洩事例(バグによる閲覧)
最後は、サービス側の不具合によってチャット履歴が閲覧可能になった事例です。OpenAIが公式に公表した情報によると、過去に一部のユーザーが、他人のチャット履歴のタイトルや支払いに関する情報を閲覧できてしまう不具合が発生しました。
この問題は特定条件下で起きた技術的なバグによるもので、確認後は速やかに修正対応が行われています。
この事例が示しているのは、利用者側に過失がなくても、外部サービスを利用する以上は一定のリスクを完全には排除できないという現実です。
業務でChatGPTを使っている場合、チャット履歴に含まれる情報の性質次第では、タイトルや断片的な情報だけでも社内の動きが推測される可能性があります。サービス提供側の対応を待つだけでなく、履歴を残さない運用や入力内容を最小限に抑えるといった自衛策の重要性が浮き彫りになりました。
これら3つの事例に共通するのは、ChatGPTを便利なツールとして活用する一方で、リスクを前提とした運用設計が十分に行われていなかった点です。情報漏洩は一部の企業だけの問題ではなく、どの組織にも起こり得るものなのです。
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生成AIは業務効率化や生産性向上に大きく貢献する一方で、情報漏洩以外にも見落とされがちなリスクを抱えています。
代表的なのが、ハルシネーションによる誤情報です。AIの回答を十分に検証しないまま、マーケティング施策やSNS発信、社外向け資料に反映してしまうと、誤った情報の拡散やブランドイメージの毀損につながりかねません。
また、著作権やコンプライアンスへの配慮不足、社内ルールが曖昧なまま利用が進むことによるガバナンスリスクも、企業にとって無視できない課題です。
こうしたAIリスクにどう向き合えばよいのか分からず、不安を抱えたまま活用を進めている企業も多いのではないでしょうか。
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まとめ

ChatGPTは、業務効率化や発想支援に役立つ一方で、情報漏洩というリスクを内包したツールでもあります。アカウント情報やチャット履歴、入力するプロンプトの内容など、どこにリスクが潜んでいるのかを理解しないまま利用を続けることは、企業にとって大きな危険につながります。
重要なのは、過度に恐れて利用を控えることではなく、正しい知識を持ったうえで適切に管理することです。
ルール整備や社内教育を通じてリスクを最小限に抑えれば、ChatGPTはマーケティング活動を支える強力なツールになります。安全な運用体制を整え、AIをビジネス成長につなげていきましょう。
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