リード獲得や顧客育成の手段として、ホワイトペーパーというツールが注目されています。とはいえ、マーケティング用語として耳にするけれど、営業資料との違いが分からない方も多いのではないでしょうか?
ホワイトペーパーはユーザーにとって役立つ情報をまとめた、Web上の資料の総称です。ホワイトペーパーには、ユーザーのニーズに合わせてさまざまな種類があります。今回はホワイトペーパーの種類を、実際の事例を示しながら一覧で紹介します。
併せてちょっとした作成のポイントも解説するので、ホワイトペーパーに取り組む際の参考にしてください。
今回は、次のような内容を説明します。
■ホワイトペーパーの種類一覧
ホワイトペーパーは多種多様ですが、主に以下の5つのタイプに分類できます。
ホワイトペーパーの種類については、別記事で詳しく解説しています。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
課題解決系
ユーザーの抱える課題に対して解決策を提示するのが、課題解決系のホワイトペーパーです。課題解決系では、ストーリーテリングのスキルを巧みに用いながら、ユーザーの共感や納得を引き出し、提供する側が意図した結論へとユーザーの心理を誘導していくのが特徴です。
解決策の一例として自社の商品やサービスを紹介するケースもあります。ダウンロード時に商品に興味の無かったユーザーでも、読み進めるうちにその必要性に気づいていく仕掛けになっています。
課題解決系のホワイトペーパーは比較的作成の難易度が高く、初めて作成する場合は作成代行のサービスを利用するなどして、プロのアドバイスを受けるのがおすすめです。
ノウハウ系
業界で必要とされる知識やノウハウをまとめたホワイトペーパーも人気です。さらに基礎的な知識だけをまとめた業界の入門ガイドを作成し、経験年数の浅い担当者を囲い込む方法もあります。
ひとくちにノウハウ系といっても内容は幅広く、すでに紹介した課題解決系も広い意味でここに含まれます。業界全般で使えるノウハウを紹介する場合は、自社の商品やサービスに興味のないユーザーをリードとして獲得できますし、自社の商品やサービスに関わるノウハウを紹介する場合は、購入の後押しをする効果があるでしょう。
導入事例系
自社の商品やサービスを実際に購入した企業のケースを紹介するのが、導入事例系のホワイトペーパーです。
購買意欲の高いユーザーをターゲットとして、導入後のイメージを持ってもらうことで、商品やサービスの購入を後押しします。営業ツールの延長線上で作成できるので、ホワイトペーパー特有の知識やノウハウなどは必要なく、社内でも取り組みやすいでしょう。
導入事例をまとめるときに気をつけたいのが、取材先の業種や企業規模が偏らないようにすることです。各営業の判断に任せると、どうしても取材を頼みやすい企業が対象になってしまいます。企画段階で、取材先として幅広い業種や規模の企業をピックアップし、より多くのユーザーに訴求するホワイトペーパーを作成しましょう。
調査レポート系
調査レポート系は、市場調査した結果をまとめたホワイトペーパーです。業界全体に関わるテーマを独自に調査する場合もあれば、自社の商品・サービスに関する調査を行う場合もあります。
前者であれば購買意欲の低いユーザーをリードとして獲得するのを期待できますし、後者は購入を迷っているユーザーに対して後押しする効果があるでしょう。
調査の工程をアンケート会社に依頼する場合はコストがかかりますが、客観的な情報であるほどユーザーの信頼も高まり、資料としての価値が高くなります。営業ツールやセミナー資料として転用もできて、汎用性が高いのも魅力です。
テンプレート・チェックリスト系
ユーザーがダウンロードしてすぐに使えるテンプレートや、チェックリストのファイルを提供する方法もあります。
自社の商品やサービスにまったく興味のないユーザーにもダウンロードされやすいのが特徴で、幅広い層をリードとして獲得できます。優れたファイルをいくつも提供すれば、ユーザーからの印象も良くなるでしょう。
作成する際は、ExcelやWordを使用して、ユーザーが簡単にカスタマイズできるようにしておきましょう。使いやすいファイルほど人気があり、ユーザーから他のユーザーに紹介して広く認知されるかもしれません。
■【種類別】ホワイトペーパーの事例一覧
ここでは実際にマーケメディア上でダウンロードできる、各企業のホワイトペーパーを紹介します。課題解決系・ノウハウ系・導入事例系・調査レポート系・テンプレート、チェックリスト系から、それぞれおすすめのホワイトペーパーを紹介するので、作成の参考にしてください。
課題解決系
【ペルソナと想定課題でマーケとセールスのギャップを埋める!】
こちらはマーケティングとセールスのギャップに関する一般的な悩みに対し「課題」というキーワードに基づいて論理的に展開しています。対象業種以外の企業でも、ホワイトペーパー作成の参考にどうぞ。
【Twitterで『バズる』仕掛けを徹底解説!ニコニコ起点の話題創出プロモーション】
ニコニコ動画で知られる株式会社ドワンゴが発信するホワイトペーパーです。
現代において圧倒的効果をもつSNS上の「バズ」を起こす仕掛けを解説しています。センスと発信力のある企業を参考にすれば、クオリティの高いホワイトペーパーが作成できそうです。
ノウハウ系
【【Web広告担当者向け!】クリックされるバナー広告のクリエイティブのポイントをご紹介!】
タイトルに「Web広告担当者向け!」というわかりやすいターゲットコピーを入れて、アイキャッチに成功している事例です。
ダウンロードページの資料詳細の説明も簡潔で分かりやすく、思わずクリックしたくなる仕掛けがたくさんあります。
【オウンドメディアの注目度をアップするコンテンツのエンタメ化】
丁寧にオウンドメディアの概念の説明から始まる、初心者にもわかりやすいホワイトペーパーです。
コンテンツのエンタメ化という主題に対しても、さまざまな事例を出して網羅的に解説してくれています。
導入事例系
【【全国1300万人に簡単リサーチ】セルフ型アンケートツール『Freeasy』】
こちらは典型的な自社商品の効果をアピールするホワイトペーパーです。タイトルに具体的な数字を盛り込むことで信頼性が高くなり、アイキャッチの効果も抜群です。
この商品を知らなかったユーザーでも、思わず興味を引かれるような仕掛けになっています。
【ECのプロ直伝!他では聞けない“ECサイト構成改善事例” Vol.2】
こちらは自社商品の宣伝要素は控えめにして、ECサイトの成功事例全般に興味があるユーザーがターゲットです。より多くの層に訴求するホワイトペーパーになっています。
もちろん本文では自社の商品の効果をしっかり説明していて、自然と商品に興味を持つ流れを作り出しています。
調査レポート系
【MA導入後の効果は出ている?そんな声にお応えして導入後のROI調査レポート公開!】
調査レポートのなかでも自社商品の満足度などをまとめているものは、導入事例系ホワイトペーパーに近い内容になっています。
ただしこちらのホワイトペーパーはユーザーの自社商品の市場評価など、より網羅的に調査した結果をまとめています。調査レポート系は客観性が高いことで、ユーザーが内容により信頼をおけるところがポイントです。
【BtoB企業における「顧客情報管理・活用」に関する実態調査レポート】
こちらは自社商品とは関係なく、各社の顧客情報の管理方法や実態についての客観的調査をまとめたホワイトペーパーです。
誰もが気になる「他の企業はどうしているんだろう?」というテーマに狙いを定めて、ダウンロードして詳しく知りたくなる内容となっています。
テンプレート・チェックリスト系
【[楽天市場]競合分析の際に確認すべき30のチェックリスト(2022年度版)】
思わずダウンロードしたくなる、チェックリスト系のホワイトペーパーです。EC事業の伸び悩みを感じている事業者に訴求するテーマをしっかりと押さえていて、ダウンロードしてすぐに成果が得られそうなところもポイントです。
【BtoB企業向け ワイヤーフレーム作成テンプレート(Power Point形式)】
こちらはサイト制作の手間を大幅に削減できる、ワイヤーフレームのテンプレートです。
BtoB企業向けとターゲットもしっかり絞り込み、ユーザーに迷わずダウンロードを促す仕掛けになっています。
■ホワイトペーパーを作る際の注意点
最後にホワイトペーパーを作成する際の注意点を、社内作成の場合と代行業者に依頼した場合に分けて解説します。
ホワイトペーパーは多くの場合、継続的なマーケティング戦略になります。そのため、最初は作成代行に依頼したとしても、少しずつ社内に作成ノウハウを蓄積していき、段階的に自社で作成できるよう移行していくのがおすすめです。またデザインなどの専門スキルを持った人材に、必要な工程だけ外注する方法もあります。社内作成と外注、それぞれ検討する前に知っておくべきポイントを見ていきましょう。
社内で作る場合
自社で作成するなら、デザインツールやテンプレートを上手に活用しましょう。社内にクリエイティブに強い人材がいればよいですが、そうでない場合は見映えを気にし過ぎてデザインに余計な時間をかけてしまう可能性があります。
ホワイトペーパーは情報の鮮度も重要なので、社内作成であっても不要な工程は減らして、スピーディーに完成させたほうがよいでしょう。
デザインツールやテンプレートを使用すれば、クオリティの高いホワイトペーパーを効率的に仕上げられます。デザイン以外にタイトルも重要な要素ですが、他社のホワイトペーパーを参考にしながら、表現にこだわりすぎず簡潔にまとめてみましょう。
社内作成では他に業務を抱える社員が携わるケースが多く、どうしてもリソースが限られてしまいます。配信のタイミングを逃さないよう、できるだけ余計な手間を省いて作成しましょう。
代行業者に依頼する場合
代行業者に依頼する場合は、あらかじめ依頼の範囲を明確にしておく必要があります。実はひとくちにホワイトペーパーの作成代行といっても、サービス内容は代行業者によってさまざまです。
ライティングやデザインだけ対応している代行業者もあれば、ターゲティングや企画、配信後の効果検証までフォローしている代行業者もあるのです。
代行業者はそれぞれに得意とする分野も違います。コンサル系の企業であればWebマーケティングのノウハウを活用した企画ができますし、デザイン制作会社はクオリティの高いホワイトペーパーを作成できます。外注したいポイントによって、代行業者を選ぶ基準も変わってくるので、まずは社内で依頼すべき範囲を話し合いましょう。
■まとめ
ホワイトペーパーの種類とそれぞれの事例を紹介しました。ホワイトペーパーでは、まず自社が狙うターゲット層を明確にして、その層がどんな情報を求めているかを見極めることが大切です。
もちろん新しい層の顧客を開拓していくときには、それに併せて提供するホワイトペーパーの種類を変える必要があります。各種類のホワイトペーパーの特徴を理解し、上手に使い分けるようにしましょう。
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