サンクコスト効果とは?コンコルド効果との違いや具体例

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サンクコスト効果は、ビジネスや日常生活において、度々起こることのある意思決定の認知バイアスです。この記事では、サンクコスト効果と、それと似た「コンコルド効果」の違いに焦点を当て、サンクコスト効果の具体的な例などを解説します。さらに、サンクコスト効果への対策などについてもお話します。合理的な意思決定と柔軟な戦略の両方を活用するために、参考にしてみてください。

本記事では、サンクコスト効果について、以下のような内容を解説します。

  1. サンクコスト効果とは
  2. サンクコスト効果とコンコルド効果の違い
  3. サンクコスト効果への対策法
  4. サンクコスト効果まとめ
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サンクコスト効果とは

サンクコスト効果とは

サンクコスト効果は、ビジネスやプロジェクトにおいて過去に投じた資金や労力が、現在の判断や意思決定に影響を与える心理的な傾向を指します。英語で「sunk cost(埋没費用)」と表現し、サンクコスト効果は、過去の投資が無駄になることを避けようとする心理からくるものです。サンクコスト効果で言われる投資とは、単純にお金だけでなく時間や労力なども含まれます。

サンクコスト効果の問題点は、「もったいない」という心理学的なバイアスによって、合理的な判断が阻害される可能性がある点です。

例えば、ある企業が新しいサービスを開発し、多額の資金を投じた場合、そのサービスが市場で期待された効果を発揮できない場合でも、サンクコスト効果によって開発にかかった費用に固執してしまうことがあります。その結果、経営が傾いてしまうことも大いにあり得るので、サンクコスト効果には注意が必要です。

サンクコスト効果とコンコルド効果の違い

サンクコスト効果とコンコルド効果の違い

サンクコスト効果と似た言葉に「コンコルド効果」というものがあります。サンクコスト効果もコンコルド効果も、ある特定の心理傾向を表すものです。経済学において使用されることが多く、サンクコスト効果もコンコルド効果と混同されやすい言葉でもあります。

ここでは、そんなサンクコスト効果とコンコルド効果の違いについてお話します。まずは、コンコルド効果の意味から確認してみましょう。

コンコルド効果とは

コンコルド効果(Concorde Effect)は、過去に行った投資や努力に対して感情的なこだわりから解放されずに、それに続く投資や努力を行ってしまう心理的な傾向を指します。この用語は、1960年代に開発された超音速旅客機「コンコルド」に由来しています。

コンコルドは、フランスとイギリスの両国が協力して開発しており、開発途中からさまざまな問題が明らかになり、収益も見込めないことが分かっていました。しかしながら、コンコルド効果により開発は続行され運行を開始し、最終的には大きな事故をきっかけに終了しました。

コンコルド効果は、一度始めたプロジェクトや事業に対して多額の資金や労力を投じた場合、それまでの投資が無駄にならないようにという心理的な要因から、合理的な判断を欠いて追加の投資や努力を行う傾向があります。コンコルド効果が働くことで、本来ならばリタイアや変更が適切な場面でそれが行われず、結果として大きな損失を招くことがあります。

サンクコスト効果とコンコルド効果の大きな違い

サンクコスト効果とコンコルド効果の大きな違いは、サンクコスト効果は過去のコストに焦点を当て、コンコルド効果は過去の努力に焦点を当てている点です。

サンクコスト効果とコンコルド効果は、意思決定において異なる心理的傾向を指します。サンクコスト効果は、過去に投資したリソース(時間やお金)にこだわり、それに対して感情的なコミットメントを持ち、これまでの努力を無駄にしたくないという心理を表現します。

一方で、コンコルド効果は、既に投資や努力を積み重ねてきたことに対して感情的なこだわりを持ち、その過去の取り組みに合理的でないほどの価値を与えがちです。特定のプロジェクトや事業に多額の投資を行った場合、その投資を最大限に生かすことを優先し、合理的な判断が難しくなることがあります。

サンクコスト効果もコンコルド効果も、過去の取り組みに感情的な影響を与え、冷静な意思決定を妨げる可能性があるため、注意が必要です。

サンクコスト効果とコンコルド効果の具体例

サンクコスト効果とコンコルド効果の具体例

サンクコスト効果とコンコルド効果の具体的な例を、それぞれご紹介します。今回は、よりサンクコスト効果とコンコルド効果の言葉の意味を理解しやすいよう、ビジネスシーンも含め、身近で起こりうる両者の具体例も挙げています。サンクコスト効果とコンコルド効果の違いについて、さらに理解を深めたい方は、参考にしてみてください。

サンクコスト効果の具体例

まずは、さまざまなシーンにおけるサンクコスト効果の具体例をご紹介します。

ビジネスにおけるサンクコスト効果事例

ビジネスシーンにおいて見られるサンクコスト効果としては、このような具体例があります。

企業Xが新製品の開発に大規模な投資を行ったが、市場受け入れが低く損失が発生。サンクコスト効果により、企業は過去の投資を取り戻そうとし、継続的な資金注入を行ったが、市場動向の変化を見逃しました。

企業の人材採用におけるサンクコスト効果事例

サンクコスト効果は、企業の人材採用の現場でも見られます。

企業が候補者との面接や適性試験、書類審査などのプロセスを進め、採用に至るまでに一定のリソースや時間を費やした場合、採用が最終的に見送られると、これまでの選考にかかった投資がサンクコストとして発生します。

しかし、最終的に他の候補者が選ばれるなどの理由で採用が見送られると、すでにかかったコストに対するサンクコスト効果が働き、その候補者を選ぶことが合理的でないと感じられるため、別の候補者を採用するよりも見送りが選択されることがあります。

恋愛などの関係継続でのサンクコスト効果事例

サンクコスト効果を説明するうえで、恋愛での例もよく目にします。

例えば、長い付き合いや結婚生活において、時間や感情、経済的なリソースなどが相手に対して投資されます。しかし、関係に問題が生じ、別れるべき状況が訪れても、これまでの投資に対するサンクコスト効果から別れることをためらうことがあります。

ギャンブルにおけるサンクコスト効果事例

ギャンブルにおいて、サンクコスト効果がよく生じます。

例えば、カジノでの賭けにおいて初めてのゲームで損失が生じた場合、プレイヤーは過去の投資に対する損失を取り戻すために、さらなる賭けに挑戦することがあります。

たとえば、初めてのゲームで一定の金額を失った場合、サンクコスト効果から「もう少しやれば前回の損失を取り返せるかもしれない」という錯覚が働き、追加の賭けを行うことがあります。

サブスクリプションのサンクコスト効果事例

サブスクリプションや会員サービスにおいても、サンクコスト効果が見られることは多いです。

たとえ利用頻度が低くなったとしても、これまで支払った費用やサービスの質に対する期待から、解約をためらうことがあります。実際には新しいサービスやメリットがないにもかかわらず、習慣や過去の支出、会員ランクなどに拘束され、利用を継続してしまうことがあります。

コンコルド効果の具体例

続いて、さまざまなシーンでのコンコルド効果の具体例をご紹介します。

ビジネスにおけるコンコルド効果事例

A会社が新商品を市場に投入したが、競合が激しく予想以上の売上げが得られないことが判明。しかし、多額の広告費用や製造コストをかけてきたことから、コンコルド効果が働き不採算ながらも商品を市場に継続供給する。

健康習慣におけるコンコルド効果事例

例えば、ある個人が特定のダイエット法やエクササイズプログラムに取り組んでいたとします。途中でその方法が効果がないことが分かった場合でも、これまでの努力や習慣に対する愛着から、新しいアプローチに切り替えずに継続してしまうことがあります。

教育への投資におけるコンコルド効果事例

例えば、特定の専門分野での学位や資格を取得するために数年間学習に努力を払った場合、その分野でのキャリアチェンジや新しい職に転職する際に、その過去の努力や投資に執着し、他の分野への転身をためらうことがあります。新しい分野への進出には新たな学習や努力が必要であるにもかかわらず、既に得た知識や資格に執着する傾向がコンコルド効果の一例です。

サンクコスト効果への対策法

サンクコスト効果は企業活動を行ううえで、いつ何時も起こる可能性のあるものです。しかし、サンクコスト効果は、冷静な判断ができなくなる可能性が高く、経営に悪影響を与えかねません。

そこで、この章ではサンクコスト効果にとらわれないための方法として、以下の7つの対策をご紹介します。

サンクコスト効果への対策法

サンクコスト効果は、投資をしている以上は自然に起こりうる事象です。サンクコスト効果をうまく回避するために、参考にしてみてください。

1. 新たな視点の導入

サンクコスト効果やコンコルド効果を回避するための重要な戦略です。客観的な判断を可能にするためには、専門家や第三者の意見を積極的に取り入れましょう。例えば、ビジネスやプロジェクトの途中で発生した損失に固執することなく、新しいアイディアや戦略を取り入れ、ケースに応じた最適な意思決定ができます。

マーケティング戦略の設計や新規事業の立ち上げにおいても、外部の知見を取り入れることで、市場の傾向や顧客ニーズに敏感に対応できます。専門的な知識やデータに基づく客観的な意見は、感情や主観的な判断に左右されず、合理的かつ効果的な結論に導きます。

2. データ駆動の判断

サンクコスト効果にとらわれないために、データ駆動の判断は、冷静な意思決定に向けて重要な手法です。

プロジェクトや事業において、客観的なデータを収集し、分析することで、感情や主観から解放され、客観的・事実ベースの判断が可能となります。

データに基づく判断は、サンクコスト効果を最小限に抑え、リスクを軽減する助けにもなります。

3. 目標との整合性

サンクコスト効果にとらわれないために、目標との整合性を確認することは、持続可能な成果を達成するための重要なステップです。企業やプロジェクトが設定した長期的な目標に対して、過去の投資や判断がどれほど寄与したかを冷静に評価し、将来の方針を選択します。

過去の事例やデータを活用して、どの施策が目標に対して効果的であったかを振り返り、成功要因を洗い出します。これにより、将来の投資や戦略がより目標に貢献する方向性が明確になります。

4. 損失を最小限に抑える柔軟性

損失を最小限に抑える柔軟性は、将来の見通しを的確に評価し、サンクコスト効果に縛られずに意思決定を行う重要な原則です。プロジェクトや事業の進捗を早期かつ継続的にモニタリングし、失敗に対して素早く対応できる柔軟性を持つことが肝要です。

マーケティングや投資においては、適切なタイミングでプロジェクトの成果を評価し、事業目標との整合性を確認します。進行中のプロジェクトや事業が期待通りに進展しない場合、感情的なサンクコストにとらわれず、合理的かつ冷静な判断で修正や撤退を検討します。

5. チームとの協力

サンクコスト効果にとらわれないために、チームとの協力は、効果的な意思決定の鍵となります。まず、共有された目標やビジョンを確認することで、チーム全体が同じ方向を向き、一貫性のある判断が生まれます。これにより、個々のメンバーが自らの意思決定を統一し、組織全体が協調して行動できます。

また、多様な意見を尊重し受け入れることがポイントです。異なる視点や経験を持つチームメンバーからのフィードバックは、新たなアイディアや切り口を提供し、問題に対する網羅的な解決策を導き出す助けとなります。

6. 未来志向の戦略

サンクコスト効果にとらわれないために、未来志向の戦略は、コンコルド効果を活かし、柔軟性を持って変化する状況に適応することを重視します。

まず、未来志向の戦略は過去の投資やサンクコスト効果にとらわれない視点を持ちます。企業や事業が直面する状況や市場は絶えず変化しており、これに対応するためには過去の成功や失敗にこだわるのではなく、未来の可能性を見据える必要があります。

これにより、競争力を維持し、市場の変化に対応する力を高めることができます。

7. レビューと学習

サンクコスト効果にとらわれないために、仕事での成功には、定期的なレビューと学習が不可欠です。まず、プロジェクトの進捗や業務の成果を定期的に評価し、目標に対する達成度や課題を把握します。これにより、将来の方針や戦略を策定する際に具体的なデータや事例に基づいた判断が可能となります。

失敗にも冷静に向き合い、その原因や背景を徹底的に分析しましょう。失敗からの学びが、将来のプロジェクトや事業の改善に繋がります。

過去の判断や選択がどのように結果に影響したかを把握し、それを次のプロジェクトや事業の進化に活かしていきます。

サンクコスト効果まとめ

サンクコスト効果まとめ

サンクコスト効果に焦点を当てながら、コンコルド効果との違いや具体例、サンクコスト効果への対策法などについてお話しました。

サンクコストに縛られない冷静な判断と未来志向の戦略が成功につながります。損失を最小限に抑えながら効果を最大化するために、合理的で柔軟なアプローチが不可欠です。経営やプロジェクトにおいては、サンクコスト効果にとらわれず、適切な投資、計画的な判断、そして継続的な努力が成功の鍵となります。過去の投資にこだわりすぎず、将来に向けた明確なビジョンを持つことを忘れないようにするのが重要です。

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